インフルエンザウイルス 構造

新型コロナウイルスは世界中に感染を広めています。ニュースなどでは、コロナウイルスの電子顕微鏡図が良く出てきますが、実は写真の状態のウイルスは一切の生命活動をしていません。それでは、どのように増殖していくのでしょうか?そのライフサイクルはよく耳にする検査や予防、抗ウイルス薬と密接に関係しています。, ・外観 ウイルスはとても単純な構造をしています。 その形としては、遺伝子であるDNAまたはRNAの周りに カプシド と呼ばれるタンパク質の殻で覆われているだけです。 インフルエンザウイルスレセプター:シアル酸を末端に持つ糖タンパク質・脂質. α2-6結合. シアル酸 google_ad_width = 336; /* 500 以上の画面サイズなら以下の広告ユニットが表示される */ width = document.documentElement.clientWidth; // 画面サイズの取得 日本語として完全に定着したインフルエンザですが、その意味や由来ってよく知らないですよね。, そして、病気の元となるインフルエンザウイルスの構造や仕組みはどうなっているのでしょうか?, 毎年、人類が嫌という程お世話になっているインフルエンザウイルスのこと、意外と知らないので調べてみました!, スポンサーリンク } 細菌とウイルスの違いは、感染症を考える上で大変重要な概念です。是非整理してみましょう。 All rights reserved. ファビピラビルやレムデシビルのターゲットは何なのかウイルスの複製サイクルと合わせて理解しましょう。, 関連する科目 あくまでも参考ということで(笑), インフルエンザを引き起こす病原体インフルエンザウイルスは、直径約1万分の1mmの大きさで、抗原性*)の違いでA、B、C型の3つの型に分類されています。, *)抗原(抗体を作り出す物質)となる物質が抗体(抗原に対する免疫性を生体に与えるタンパク質)を特異的に認識して結合する性質。, インフルエンザウイルスの表面には、スパイクタンパクという糖タンパク質が突き出ています。, スパイクタンパクには、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)の二種類があり、それぞれにウイルスが感染を起こすための役割があります。, A型インフルエンザウイルスのHAには16種類(H1~H16)、NAには9種類(N1~N9)があります。つまりH1N1~H16N9の144種類の”亜型“が存在しており、非常に多様性を持っていると言えます。, B型インフルエンザウイルスにもHAとNAがありますが、それぞれ1種類しかありません。, C型インフルエンザウイルスにはヘマグルチニンエステラーゼ(HE)しか存在しません。, 生体は抗原をに合った抗体をつくり出して感染を防いだり、回復を早めたりする免疫の仕組みを持っています。予防接種もこの仕組みを利用したものです。, しかし、抗原が変ってしまうと抗体は働かず、新たな抗体ができるまで、インフルエンザは流行します。, HAとNAが同じ亜型(例えばH1N1)の範囲内であっても、遺伝子の突然変異によって、毎年のように抗原性がわずかに変化します。, 抗原性の変化が大きくなれば、以前にインフルエンザに感染して免疫があっても、再び別のインフルエンザウイルスが感染します。, A型インフルエンザウイルスは、数年から数十年単位で、流行株が突然別の亜型に替わることがあります。, 誰も新型インフルエンザウイルスの抗体をもっていないため、あっという間に世界中に広がり、大流行(パンデミック)になります。, A型インフルエンザウイルスは、鳥をはじめ、人、ウマ、ブタ、トラ、アザラシ等に広く感染する人畜共通に感染するウイルスです。, 特定の動物の間で感染しているA型インフルエンザが、遺伝子の変異によって動物→ヒト、ヒト→ヒトへ感染する能力を持つことがあります。, このようなインフルエンザウイルスが「ヒト→ヒト」への伝染が確認されると新型インフルエンザの発生となります。, このような新型インフルエンザの例としては、2003年末から2004年初めにかけ韓国・香港・ベトナムと東アジアで大きな被害を出した鳥インフルエンザH5N1型が記憶に新しいですね。, ウイルスの特性として、変異を起こしやすく、大流行を招く可能性があるのはA型のインフルエンザウイルスです。, 生物の進化の過程からして、いずれはウイルスの遺伝子組み換えが発生し、新型インフルエンザの大流行が起こることは避けようがないもののようです。, しかし、人類は、その科学力により抗インフル薬など、ウイルスと戦う準備を着々と整えています。, 新インフルエンザの発生と流行をむやみに恐れるのではなく、正しい情報を得て、感染予防に努めていきたいものですね。, 大幸薬品 健康情報局 薬学基礎生物、微生物学I、微生物学II、分子生物学、病院機能特論、生物系実習, 1)日本では検定企画はないそうですが、環境省HP内のマスク工業会の資料によると、BFE(約3㎛、バクテリアろ過)、VFE(約1.7㎛、ウイルス飛沫ろ過)の試験、PFE(ラテックス微粒子ろ過率0.1umラテックス)などでフィルタ捕集効果を確認しているとのことです。ウイルス単体は通してしまいますが、飛沫(5μm以上)には十分効果が期待できます。花粉は、約30μmと大きく、花粉用マスクは別ですのでご注意をお願いします。, 2)エタノールと次亜塩素酸ナトリウムは濃度も用途も異なります。特に次亜塩素酸ナトリウムは家庭用漂白剤にも使われている成分で、手指消毒には向きません。, 4)TMPRSS2の代わりにカテプシンという別のプロテアーゼが働く場合もある様です。, 5)(+)鎖というのは、コドンの配列をもち、そのままリボソームを使って翻訳されることが可能な鎖のことです。(−)鎖は、その相補的な配列を持ちます。, 6)コロナウイルスゲノムには複数のプロテアーゼ遺伝子が含まれ、一本の長いタンパク質から個々の役割を担うタンパク質へ切り出しする機能をもつプロテアーゼをメインプロテアーゼと呼んでいます。. 以上の①から⑥の過程を経て、細胞内でウイルス量を数百倍にも増幅させてから細胞外へ放出した後、また周辺の未感染の細胞に吸着して感染を繰り返していきます。, 新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは全て、単独では増殖することはできず、宿主細胞内でのみ増殖します。また、細菌などとは違い、細胞分裂で増えるわけではありません。活動中のウイルスを不活化する方法は、難しいと言えるでしょう。なぜなら、活動しているウイルスはその大部分を宿主であるヒトのシステムを使っているからです。それを、破壊しようとすれば、ヒトのシステムまで破壊してしまいます。ウイルスのみの有効な手段は多くはありません。目的のものだけに効果をもたせる性質を選択毒性といいます。抗ウイルス薬には副作用の問題がついてまわり、選択毒性の高い医薬品を開発することが難しいのです。しかし、ウイルスのライフサイクル①から⑥の中には、選択毒性の高い抗ウイルス薬の作用点候補として、いくつか有望な標的(ターゲット)タンパク質も含まれています。例えば、「RNA依存性RNAポリメラーゼ」は、ヒトのシステムにはないものでターゲットとして有望です。また、侵入に関係するTMPRSS2の阻害剤などは既に使われているフサン(ナファモスタット)という医薬品があり、新型コロナウイルス薬として期待されています。また、プロテアーゼ阻害剤は、HIVやHCVでは実用化されています。今後の、研究の進展に期待しています。, 薬学部 機能生理化学研究室 教授 額賀 路嘉 (ぬかが みちよし) シアル酸. google_ad_client = "ca-pub-2000174580994743"; 認識して結合する受容体はウイルスにより決まっていて、例えばインフルエンザウイルスでは上気道や下気道細胞表面のシアル酸糖鎖という構造が、hivでは免疫細胞上のcd4というタンパク質がウイルス受容体として機能しています。 (ウ)  転写(mRNAの合成)と翻訳(タンパク質合成):ゲノムRNAだけでなく、より短い、サブゲノムmRNAを何種類か合成します。mRNA(伝令RNA)として機能し、ヒトのリボソームを介してウイルスタンパク質合成(翻訳)のために利用されます。 (エ)  通常、ヒトなどの細胞で1種類のタンパク質の情報は1本のmRNA上にのっていてそれを元にリボソームがタンパク質を合成します。しかし、コロナウイルスでは複数のタンパク質の情報がサブゲノムmRNA各々に同時にのっていて、1本の長いタンパク質の配列情報が連続して繋がっています。宿主細胞のリボソームはそれを一気に一本のアミノ酸の鎖(ポリペプチド鎖)として合成します。これをウイルス由来の「メインプロテアーゼ」6 と呼ばれる特定の配列を切断するプロテアーゼの作用で、必要な個々のタンパク質として切り出します。この仕組みはHIVやHCV(C型肝炎ウイルス)など、他のウイルスにも見られる特徴です。また、このプロテアーゼ阻害剤は、抗HIV薬や抗HCV薬として実用化されており、新型コロナウイルスにも期待されています。, ⑤組立・成熟と⑥ ウイルス粒子の放出:さまざまなウイルス粒子を構成するパーツの中で、エンベロープに組み込まれるものは、粗面小胞体上でタンパク質合成され、小胞体膜上に組み込まれます。また、ウイルスゲノムRNAにカプシドタンパクが結合してヌクレオカプシドを形成し、これを囲むように、ウイルスタンパク質を含んだ小胞体膜が切り取られ、ウイルス粒子を形成、ゴルジ装置を介して、エキソサイトーシスで細胞外に放出されます。 /* 500 以下の場合この広告ユニットが表示される */ if (width < 500) { インフルエンザウイルスの宿主の壁 α2-3結合. 「インフルエンザ」という単語の由来は16世紀のイタリアに遡ります。 冬になると毎年流行し春になると終息することから、当時の占星術師は天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考えました。 そして、その病名をイタリア語で「影響」を意味するinfluenza(読みは「インフルエンツァ」)と名付けました。 この単語が、18世紀のイギリスで流行の際に、英語に日常的語彙として持ち込まれ、世界的に広く使用されるようになったのです。 ちなみに日本語としては、「流行性感冒」という表現も … インフルエンザウイルスとインフルエンザ菌 インフルエンザ菌は、1892年にインフルエンザ患者の痰から発見された細菌 である。 はじめはインフルエンザの原因であると考えられていたため、「インフルエ ンザ菌」と名付けられた。 α2-3シアル酸に結合. PCR検査というものを聞いたことがあると思います。ウイルスが体内にいるのかどうか確認するための検査です。高等学校の生物でも学習しますがPCRというのは特定のDNA位置に結合する2種のプライマーを使ってDNAの特定領域を大量に作り出す方法です。しかし、コロナウイルスはRNAしか持っていません。RNAにPCR法を適用するにはRT-PCR法を利用します。新型コロナウイルスのPCR検査は正確にはRT-PCR検査なのです。RT(Reverse Transcription)とは逆転写のことで、逆転写酵素がRNAを鋳型にDNAを合成することです。RTを行ってDNAを作ってから通常のPCR法を行うのがRT-PCR法です。本来、PCR検査というのは、検出感度は非常に高く、なにかの理由で、感染していないのに陽性判定と判断されることが問題になるくらいです。しかし、巷では検出精度が悪いなどといわれています。この逆転写のステップで一手間かかるということ、また、RNAはDNAに比べて、分解しやすく、扱いに注意が必要なことなどがPCR検査の信頼性ということに関係しているのかもしれません。, 図や写真のウイルスの粒子はよく目にするもので、ウイルスのイメージそのものだと思いますが、その状態では生きているといえるものではありません。栄養も取らないし、呼吸もしない。粒子の中にはATPを作るための仕組みも一切ありません。このままでは増殖・分裂もしません。ただ、唯一持っているのは、宿主(感染先のことを言います)細胞に感染する能力をもっているということなのです。, ウイルスは、偏性細胞内寄生性があり、ウイルス粒子の状態では増殖できません。宿主(新型コロナウイルスではヒトの)細胞と呼ばれる寄生先が必要です。宿主細胞に侵入して、その細胞の機能を利用して自分を増やし、また、細胞から出て行きます。そのサイクルは図に示したように、7つの段階からなっています。, ①吸着:ウイルスは、最初に、ヒトなど動物細胞表面の受容体に結合する必要があります。新型コロナウイルスでは、表面に突き出しているスパイクタンパク質が、細胞表面にある受容体、ACE2に結合することからこのライフサイクルは始まります。ACE2とは「アンジオテンシン変換酵素2」という細胞表面にある酵素タンパク質です。認識して結合する受容体はウイルスにより決まっていて、例えばインフルエンザウイルスでは上気道や下気道細胞表面のシアル酸糖鎖という構造が、HIVでは免疫細胞上のCD4というタンパク質がウイルス受容体として機能しています。ACE2はアンジオテンシンⅡと呼ばれる血圧調節するホルモン(正確にはオータコイド)の分解に関与しますが、感染により血圧が急激に変化することはないようです。また、最近の研究ではヒトが作るFurinと呼ばれるプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が切断する配列が(SARS-CoVにはなく)新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に存在することがわかり、Furinによる切断によってACE2へより強く結合し、感染が拡大したのではないかと考えられています。, ②侵入:スパイクタンパク質がACE2受容体と結合した後、細胞表面にあるTMPRSS2(II型膜貫通型セリンプロテアーゼ)という酵素がスパイクタンパク質の一部を切断すると、結合の様子が変わります。これをきっかけにしてウイルスのエンベロープと細胞膜との融合がはじまり、細胞内に侵入します4。膵炎の薬として使われているナファモスタットがTMPRSS2酵素がスパイクの一部を切断するステップを阻害することで、新型コロナウイルス薬として有望であると東京大学医科学研究所から発表がありました。, ③ 脱殻:感染可能なウイルス粒子が分解されてなくなり、ゲノムRNAが露出して宿主細胞の細胞質に放出されるプロセスのことを言います。新型コロナウイルスの場合、②とほぼ同時に起こるようです。, ④素材の合成:このプロセスは、ウイルスのゲノムから様々な核酸、タンパク質などのウイルス粒子の材料となる部品を作り出すことを言います。生物ではセントラルドグマと呼ばれる「DNA→RNA→タンパク質」という流れがあり、複製、転写、翻訳という過程で遺伝子の情報からタンパク質が作られていますが、コロナウイルスではゲノムがRNAのために少し複雑です。次の(ア)~(エ)のステップから成ります。 google_ad_height = 280; ウイルス球体の周りにはエンベローブと呼ばれる脂質二重膜があり、この膜に突き刺さる形で、スパイクタンパク質が存在します。スパイクタンパク質は、ウイルス粒子の最も外側の構造ですから、感染するときに真っ先に相手に触れる構造です。また、ヒトの免疫系が抗体をつくるときにこのスパイクタンパク質を認識して、その形に合わせた抗体を作ることになります。外見的にも球形の外側を飾るような形、王冠の様だということでコロナという名前がついたということですから、スパイクタンパク質は、ウイルス粒子の顔のようなものです。 Copyright (C) Josai International University. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は図のような、約100 nmの球形をしています。1mmの1/1000が1μmその1/10が100 nm、1 mmの1/10,000程度の大きさです。光学顕微鏡ではみることができず、観察には電子顕微鏡を使います。この大きさが、マスクを通す、通さないという議論になりマスクの有効性はあるのか?という話に繋がっています。1, ・表面の構造 google_ad_slot = "5994565518"; インフルエンザ感染症の原因となるのはインフルエンザウイルスです。インフルエンザウイルスの最大の特徴は、増殖力の強さです。 ウイルス粒子はひとつの細胞から約1000個作り出されるともいわれ、体内に侵入してから24時間後には1万個ものウイルスが発生します。 体内にはウイルスの増殖をおさえるための免疫機能がありますが、インフルエンザウイルスではウイルスが増殖するスピードに免役機能が追い付かないことがほとんどで、たった1つのウイルスが体内に入っただけでインフルエンザを発症 … 検査、マスクなどで言われる問題点は、ウイルスのどのような性質が関係しているでしょうか?考えてみましょう。 //-->, 冬になると毎年流行し春になると終息することから、当時の占星術師は天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考えました。, そして、その病名をイタリア語で「影響」を意味するinfluenza(読みは「インフルエンツァ」)と名付けました。, この単語が、18世紀のイギリスで流行の際に、英語に日常的語彙として持ち込まれ、世界的に広く使用されるようになったのです。, ちなみに日本語としては、「流行性感冒」という表現もありますね。もはや一般的に使われることもほとんどなく死語と化していますが・・・, 男性名詞、女性名詞など細かいところに謝りがあるかもしれません。 ・HA(ヘマグルチニン) インフルエンザウイルスの表面に突出しているスパイクタンパク質です。16の違う形を持っています。インフルエンザウイルスの性質を決定づける重要な役割があります。 ・NA(ノイラミニダーゼ) ヘマグルニチン同様にインフルエンザウイルスの表面に突出しているスパイクタンパク質です。9種類の違う形を持っています。インフルエンザウイルスの性質を決定づける重要な役割があります。 ・NP(核タンパク質) インフルエンザウイルスの主要な構造を担うタンパク質です。 ・M2(マ … トリウイルス.